これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

書評:「仕事ごころ」にスイッチを!〜小阪裕司さん

効果的なチーム作りとはなんだろうか?
人として自然な心理的反応を無視して、良いチーム作りなんかできるものか。
仕事は楽しくやった方が、絶対いい!
普段から、そう思っていた。そんな時にこの本に出会い、「ああ、そうそう、その通りだよ!」と思ったことを今でも覚えています。


「仕事ごころ」にスイッチを!―リーダーが忘れてはならない人間心理の3大原則&実践術

「仕事ごころ」にスイッチを!―リーダーが忘れてはならない人間心理の3大原則&実践術


チームのメンバーは一人ひとりが自我を持ち、各々の価値観を持って動いている。ただ「やれ」というだけで、ゴールに向かって一丸となんかなれない。指示命令するだけで、良いチームなんかできるわけがないのです。
仕事上のゴールにたどり着くためには、辛いことが山ほどある。だからこそ、そこに「快」が無くては人の心は折れてしまう。嬉しい!楽しい!やった!どこかでそう思える何かがチームには必要だ。
では、一体どうすればいいのか。その答えの一つが、この本には書いてあるのだと思います。

目次

第1章 会社に何が起こったか
第2章 人の心にスイッチを入れる人間心理の3大原則
第3章 「抵抗」と「離反」を越えて
第4章 「神話となるチーム」の土壌はこうしてつくる
第5章 誰もがヒーローになれる驚異のメカニズム
第6章 ヒーロー化を加速させる5つの方法

この本の3つのポイント

  1. 「普通の人たち」がプロジェクトX化するチーム作り。そのカギは「快」。
  2. チーム作りをはじめるにあたっての心構えと準備
  3. 具体的なチーム作りのステップ

1.「普通の人たち」がプロジェクトX化するチーム作り。そのカギは「快」。

  • 人の脳は「快」を感じると活性化する
    • 「快」をベースにチーム作りをすることが、「普通の人たち」を神話となるチームへ育てる
  • 「快」をベースにしたチーム作りには、3つの原則がある
  1. ねぎらい
    • プロジェクトの活動を「快」と結びつけるには、「魂のごちそう」という報酬を与える
    • 「魂のごちそう」とは?
      • お客様の「ありがとう」
      • 上司・チームメンバーの「ねぎらい」
    • 「ほめる」は条件付の行為、「ねぎらう」は無条件の行為
      • 「叱る」と「ねぎらう」は両立する
  2. 「意味」を与える
    • 「この企画の重要性や成果については良く分かった。でも、なぜマーケティング本部が必要なのかはわからない。」
      • 言われた人は凄く落ち込んだ
      • これは、「褒められたけども、ねぎらわれなかった」ということ
      • この言葉は「成果は分かった。だけど、あなたの存在の必要性はわからない」と同じ
    • 「ありがとう」や「ねぎらい」が最高の「快」をつれてくるなら、「意味の否定」は最大の「不快」をつれてくる
    • 人にとっては「意味」が不可欠
      • なぜやるのかわからないままにやらされる、というのは常に「不快」
      • 「何をやるのか」のみを告げ「何故やるのか」を言わないのは、「なぜやるのかわからないままにやらされる」という状態
      • 意味のない行為を続けると、人は自分にとっての「意味」を失う。
    • 精神健康度
      • 「能力がない」「やる気がない」、そう見える人は「精神健康度が低い状態」といえる
      • 「能力がある」「やる気がある」、そう見える人は「精神健康度が高い状態」といえる
      • 精神健康度は変化する
      • 「快」や「意味」を感じ、日々充実しているなら、精神健康度は高くなる → やる気のある人・能力のある人へ
      • 「快」もなく「意味」もなかったら、精神健康度はドンドン下がっていく → やる気のない人・能力のない人へ
      • 神話となるチームとは、精神健康度の高いチーム
  3. 「演じさせる」
    • 人は演じたとおりの人間になる
      • 人間ははこういう人間になるんだと決めて、その通りの人間になる
      • 看守役と囚人役の実験
    • 人は「あなた」が期待した通りの人間を演じて、そうなってしまう
      • 知らず知らずのうちにチームメンバーに期待した役割を演じさせ、そういう人にならせてしまっている可能性
      • 「こいつは能力のない奴」だと思い込み、「能力のない奴」という役割を演じさせることに
    • ただ期待すればいい
      • 彼ら/彼女らの役割を、神話を作るヒーローであるかのように、思い切り期待する
      • あとは、ただそのように接すればいい
      • ただし、その期待が曖昧だと相手に伝わらない
      • 一人ひとりの期待を明確にし、それを言葉と態度で示すこと

2. チーム作りをはじめるにあたっての心構えと準備

  • 抵抗
    • 人は何故抵抗するのか?
      • 変化への恐れ
    • 慣れないことをやるのは、脳として「不快」
      • 「不快」を回避しようとして、実に理路整然とした「抵抗」を始める
    • 恐れへの突破口は「楽しさ」
      • やっていることを楽しんでみせること
      • 楽しさは伝染する
  • 離反
    • チーム作りが順調に進むと、ある種の文化ができてくる
    • それについていけなくなる人は、どうしようもない
      • 変化していく全ての会社に起こること
      • それまで極めて重要だった人物が去っていくことが多い
      • 変革が順調に進んでいる証として捉えよう
  • あなたが「次の抵抗者」にならないように
    • 今の抵抗者は、かつての変革者だったかもしれない
    • もしかすると、あなたが次の変革期の最大の抵抗者となるかもしれない
    • 頭の固い人にならないように
      • 頭を柔軟にしておくには、いつも変化し、それを楽しんでおくこと
  • 共感を創る土壌
    • 説得とは、人の考えもしくは行動を変えようとすること
      • 無理矢理行動させることができても「不快」
    • 共感に基づく行動は自発的
    • 何に共感してもらうのか?
      • あなたの心の底から湧き出る「事業欲」に共感してもらう
      • 「どうしてもこれがやりたいんだ」という衝動
      • それに共感した人があなたのもとに結集する
    • 社長が何をしたいのかさっぱり分からない
      • つまり、何に共感していいか分からない、ということ
    • 共感軸を明確にする必要がある
      • ビジョンを描いておく
      • こういう会社にしたいな、自分の理想の会社ってこういう会社だよな
      • 自分の理想の1日を5分間で実際に紙に書いてみる
    • 描いたビジョンは共有する
      • 伝える方と受け取る方にはギャップがある
      • しっかりと伝えたつもりでも、伝わっていないことが多い
      • ズレがあると、それが「共感をつくる」という非常に大事なことにおいて、致命的な欠陥となる
      • 繰り返し繰り返し伝えること

3. 具体的なチーム作りのステップ

神話となるチーム作り
  • プロジェクトX
    • みんな不可能といった。でも、やつらはやり遂げた。
    • カギは行く手に立ち塞がる数多くの困難、「試練」の存在
  • 感動を生むドラマの形
    1. ステップ1 不可能と思える(あるいは言われている)目標が設定される
    2. ステップ2 その目標達成に挑む人々が結集される
    3. ステップ3 目標達成のため旅立つ
    4. ステップ4 その後はずーっと試練
    5. ステップ5 しかし最後の最後にその目標を達成する
    6. ステップ6 目標に挑んだ人々が英雄となって帰還する
  • このメカニズムをあなたの会社に導入する
  1. まずプロジェクトをぶち上げて、目標を掲げる
    • 目標のルール
      • 不可能といわれている(チームメンバーもそう感じている)
      • あなたは(不可能と)感じていない
      • 計測可能な目標である
      • 始まりの期日が明確である
      • 終わりの期日が明確である
  2. 旅立ちは無理矢理でいい
    • スターウォーズ
      • オビ・ワン「共に銀河帝国を倒そう」
      • ルーク「僕にはとてもできないよ」
      • オビ・ワンが無理矢理連れ出した
    • ルークといえども、本当に冒険への道が目の前に開けたときには恐れる
      • みんな、自分が本当はどんなことをやってのける存在なのかを知らないのだ
  3. 旅立ちの儀式
    • 結団式やキックオフ・ミーティング
    • 今日これからが、目標にむかって進む冒険の旅の始まりだよ、とみんなで意識する
    • ケーキでも買ってきて、お茶をのみながら
      • 実はね、何故これを今回やるかと言うとね・・・とシェアリング
  4. 最初の試練
    • 必ず最初の試練はやってくる
    • いかに感動的に乗り越えるかが大事
    • ここで「魂のごちそう」を食べていただく
      • お客様からの「ありがとう」、チームメンバーやあなたから得られる「ねぎらい」
    • ここで得た「魂のごちそう」が、その後の試練を乗り越えさせる
  5. ルーク、フォースを使え
    • 乗り越えることに関しての大事な条件
      • 彼ら自身の力で乗り越えさせる必要があるということ
      • 「こうやれ」と指示したり、途中から自分がやってしまったりすると例え結果がでもて、彼らは感動しない
    • あなたの役割はオビ・ワン、すなわち助言者
      • 助言者が与えるべき2つのものは「意味」と何をやるか考えるための「手がかりとヒント」
      • 与えてはいけないものは「答え」、つまり「何をやるか」
      • 答えを与えると、相手が考えることをやめてしまう
      • 常に考える力を育てるための助言者となろう
  6. 帰還の儀式
    • 打ち上げ
      • 打ち上げを粋にやれないプロデューサーには、いいスタッフがつかない
    • 打ち上げもまた「ねぎらい」
チーム作りを加速させる5つの方法
  1. 環境を「快」にする
    • 好きなものに囲まれて仕事をする
    • 眺めているだけで「快」になる物
    • そういうものに囲まれているだけで、もう脳は「快」
  2. コスチューム
    • チームメンバーに演じるべき役をスムーズに演じさせるためには「衣装」がパワフル
    • ある健康食品会社
      • メンバーは医師ではないが、医師のような威厳を持ってお客と接し、安心感を与えて欲しい
      • 白衣を着せた
      • 途端に、口調や電話口での態度など随分改善された
      • 医師のように振る舞わせたかったら、医師の格好をすればいい
    • 肩書きもパワフル
      • 肩書きの持つ意味が重要
      • 肩書きが自分のイメージを決定してしまう
      • 肩書きについて数え切れないくらい人に聞かれ、その都度答える
      • そういう状態が日々続くと、その役を演じられるようになってくる
    • ニックネームで距離を縮める
  3. シンボルで燃える
    • チームのシンボルをつくる
      • 共通の旗を立てる
      • 俺達は同志だぜ!ってこと
    • 不思議なことにまとまりがよくなる
  4. お客様の声を貼る
    • お客様からの「ありがとう」の声を貼り出す
      • 「ありがとう」の言葉に皆「快」を感じる
    • クレームは?
      • 貼るのは「魂のごちそう」のため
      • クレームはクレームできちんとキャッチして改善すべきだが、ここでは目的が異なる
    • トイレに貼っておくと、トイレに入る度に自分の仕事が「快」と繋がることができる
  5. 合宿効果を活用する
    • 合宿とは「分かち合い」
      • 「俺はこういうことを考えているんだよ」
      • 「こういう会社にしていきたいんだよ」
    • ビジョンシェアリングやブレーンストーミングに有効
    • 儀式としての意味合いを持たせてキックオフ・ミーティング
    • 一番重要なのは環境
      • 車で1時間以上離れたところでやる
      • 日常と意識が切り離せる
      • 頭を使うのは非常にエネルギーを使うから、素晴らしい心沸き立つ環境の中でやる

他の書評

他の書評はこちらへ。