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意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

書評:4つのエネルギー管理術〜ジム・レーヤー/トニー・シュワルツ

読書履歴兼書評。先週は1冊だけ。

成功と幸せのための4つのエネルギー管理術―メンタル・タフネス

成功と幸せのための4つのエネルギー管理術―メンタル・タフネス

  • 作者: ジムレーヤー,トニーシュワルツ,青島淑子
  • 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
  • 発売日: 2004/10/22
  • メディア: 単行本
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人生は短距離走の繰り返しである。
この本の中から1つの言葉を取り出すとしたら、これだ。この言葉が本書で述べていることを最も良く表している。適切なストレスと、適切な回復を繰り返すことで、私たちのエネルギーは高まったいく。そして、最高にエネルギーが充実した状態を、フル・エンゲージメント状態という。このフル・エンゲージメントこそ、目指すべきところだ。
実はずっと前に、エネルギーにも選択と集中をというエントリーを書いた。この本を読んで、更にその思いが強くなった。時間を管理するだけではダメなのだ。本当に管理すべきはエネルギーなのだ。
どれだけ良いエネルギー状態を保てるか、それがそのまま生活の質の高さに影響する。充実した質の高い時間を過ごすためには、適切にエネルギーが管理されていなくてはならない。
さあ、いますぐエネルギー管理をはじめよう!

目次

第I部 フル・エンゲージメントの力
第1章 フル・エンゲージメントとは何か
第2章 ロジャーの場合
第3章 ストレスと回復のバランスをとる
第4章 肉体のエネルギー
第5章 情動のエネルギー
第6章 頭脳のエネルギー
第7章 精神のエネルギー

第II部 トレーニングシステム
第8章 ステップ1 目標を定める
第9章 ステップ2 真実と向き合う
第10章 ステップ3 行動を起こす
第11章 その後のロジャー

この本の3つのポイント

  1. 人生は短距離走の連続だ(マラソンではない)
  2. 理論:4つのエネルギーを管理する
    • 肉体のエネルギー
    • 情動のエネルギー
    • 頭脳のエネルギー
    • 精神のエネルギー
  3. 実践への手引き:トレーニングシステム

1. 人生は短距離走の連続だ(マラソンではない)

  • エネルギーを上手く管理し、フル・エンゲージメント状態をつくる
    • 肉体にエネルギーが満ち、情動が前向きで、頭脳は正しい方向に焦点を合わせ、精神は私利私欲を越えた不快目標を見据える
  • ポジティブな儀式で上手くエネルギー管理
    • 儀式:自分が大切だと思うことが習慣化されたもの
  • エネルギーとは、どれだけ活動できるかという容量
    • エネルギーの消費と回復は、人間にとって基本的なこと
    • 消費ばかりでは燃え尽きたり、活動できなくなったりする
    • 回復ばかりで適度なストレスがないと、退化や衰えを招く
  • 通常の限界を超えたエネルギーを消費し、その後で回復の時間をとることで、成長を遂げる
  • 「リハビリ」の場合は、「少しずつストレスを与える」こと*1
    • ストレスの量、時間共に少しずつ増やしていく

2. 理論:4つのエネルギーを管理する

肉体のエネルギー
  • 全ての土台となる根幹をなしているもの
  • 食事、水分補給、睡眠がとても大切
  • インターバル・トレーニングによる肉体強化
  • 自分の実力を効果的に持続的に発揮するために、90〜120分ごとに休憩をとること
    • 実力とは肉体労働的なものだけでなく、頭脳労働も含まれる!
情動のエネルギー
  • ネガティブな情動は割高で効率が悪い
    • 上司のネガティブな情動は部下に伝染しやすい
    • ネガティブな情動は、「生き残る」ために反応的に発揮されることが多い
  • 実力を発揮するにはポジティブな情動が望ましい
    • 楽しむ、挑戦する、冒険する・・・そんな気持ち
    • これまでの人生の中で、心から喜べる、または楽しく満足できる経験を、どのくらい頻繁にしましたか?
  • 質の良い回復を
    • 楽しい活動、充実した活動、今の自分を肯定してくれる活動は、情動回復の原動力となる
    • テレビをみたりするのはスナック菓子を食べるのに似ている。一時的に回復はするが、質はあまり良くない。
    • 回復のための活動が豊かで深みのあるものであればあるほど、貯蔵できるエネルギーも多くなり、よりしなやかな心を取り戻すことができる
頭脳のエネルギー
  • 創造的プロセスは5つのステップからなる
    • 1.洞察 2.浸潤 3.孵化 4.解明 5.検証
      • 2と5は左脳、残りは右脳
    • 右脳は「脳がよそ見をしているとき」に実力を発揮する
    • 想像力を発揮するには、意識的と無意識的を繰り返すこと
      • 集中と解放
      • 思考と忘却
      • 活動と休息
  • 脳は使わないと萎縮し、活発に動くと容量が増える
  • 自分の限界を超えて(快適な範囲を超えて)働かせ、そのあとで回復をはかることで、計画にに鍛えることができる
精神のエネルギー
  • その人が使えるエネルギーの量 = 肉体のエネルギー
  • エネルギーを使おうというモチベーション = 精神のエネルギー
  • 精神のエネルギーの元は
    • 私利私欲を越えた使命感
    • 人生で一番大切にしたいこと
    • 苦労することになっても、自分が大事だと思う価値基準に従って生きる勇気と覚悟を持つこと
  • 最悪の状況でも、目標を共有し、自分だけの利益に囚われずに大きな使命感を抱くことができれば、精神のエネルギーを土台から支える力を生み出すことができる
  • 自分の事ばかりにかまけていると、エネルギー切れをおこし、上手く実力を発揮できなくなる
    • 自分のことで頭がいっぱいであるほど、積極的に行動を起こすために必要なエネルギーが枯渇する
  • 情熱、他人と関わろうという気持ち、誠実さ、正直さ等も精神エネルギーを助ける

3. 実践への手引き:トレーニングシステム

目標を定める
  • 多くの人は目標(生きる意味)を定めない
    • 自分の人生としっかり向き合っていないか、一種のなまけ心か、自分の人生に愛情が足りなくて、他人が自分のことを決め、物事の意味を教えてくれるのをそのまま受けれているから
  • ネガティブな理由から生まれる目標
    • 防御的な意味が強く、足りないものを埋めるのが基本スタンス
    • 強力だが、問題はコスト
      • ネガティブな感情はエネルギーを枯渇させ、長い目でみると人体のシステムに悪影響を与える
  • 付帯的なものから本質的なものへ
    • 行為に対する報酬を目当てにするのではなく、行為そのものを行うことに満足感と価値を見いだせると、より強力になる
      • 好きを貫け!
  • 目標を明確にするには時間がかかる
    • 私たちはいつも、長期的な方向性を考えることなく、次から次に急いで仕事をこなしている
    • 人生の意味や目標を考える時間は、以下への投資
      • エネルギー状態がよくなること
      • 仕事に100%の力で向かえること
      • 生産性が上がること
      • 満足感が増すこと
  • 次の質問に答えてみる
    1. 今、あなたは人生を終えようとしている。あなたが人生で学んだ最も大事なことを3つと、その理由をあげてください。
    2. あなたが心から尊敬する人は誰ですか?その人について、素晴らしいと思うところを3つあげてください。
    3. 自分の良いところを100%発揮しているときのあなたは、どんな人ですか?
    4. あなたの真の姿が墓石に一文で刻み込まれるとしたら、どんな文章を望みますか?
  • 自分の大切にしたい価値は、日々の生活で行動に移してこそ意味がある
  • ビジョンステートメントを作る
    • 少々背伸びをするくらい高い理想と、現実に即した具体的な視点の両方が必要
真実と向き合う
  • 人は誰でも自分を欺くことにかけては天才的だ
  • 真実を恐れるとき、人は防衛的になり、麻酔をうった時のように痛みを感じなくなる
    • 同時に自分を最大限に発揮して自由に生きていく道を閉ざす
    • 自分の真の姿に目を開けば、自由になれる
  • どんな人でも自分の価値基準に反することがある
    • そんな時、自分の非力や過ちを否定するのではなく、ありのままに受け入れることで、失敗から学ぶことができる
    • 「見たくない真実や人生の矛盾にしっかりと目を向ける」ことと「希望をもってポジティブなエネルギーを使い、前向きに生きていく」ことのバランスが大事
行動を起こす
  • 本人が意識的に行っていることは、活動全体の5%にしかすぎない
    • 人間は習慣の動物だ。行動の95%は無意識に行っているか、突きつけられた要求や不安に対する反応として起こったもの
  • 儀式とは、自分の信じる価値基準に沿って、正確に意識的に行っている行動が、毎日の生活の中で自然な習慣となったものである
  • 意識的にやるということは、エネルギーを使う
    • エネルギーを1つのことに使ってしまうと、他にまわせなくなる
  • 「私たちは自分のしていることについて考える習慣を持つべきではない。その正反対が正しいのだ。何も考えずに出来ることの数を増やすことによって、文明は発展していく」
    • 意志や自制心は人を行動へと後押ししてくれるが、良く練られた儀式は本人が気づくより前に行動へと引っ張ってくれる
  • 目標が過酷なものであるほど、儀式は厳しいものにする必要がある
  • 儀式を定着させる30〜60日は、「いつ」「どのように」儀式を行うのか、細かい部分をきっちり決める必要がある
    • 細かく決めてあることで、それを行うためのエネルギーが少なくて済む
    • タイミングをきっちり決めること
    • 行動の内容を正確に設定すること
  • 過剰は必ずといっていいほど失敗に繋がる
    • 変化するということは、自分にとって快適な領域から出るということだから、少しずつ、扱いやすい量からはじめるのが一番だ

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*1:鬱からの回復期などが該当すると思われる