これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

読書履歴兼書評: はじめの一歩を踏み出そう

はじめの一歩を踏み出そう—成功する人たちの起業術
マイケル・E. ガーバー
世界文化社
売り上げランキング: 1467
おすすめ度の平均: 4.5
5 会社を仕組み化するのにいい本
5 企業家になるために
5 人は何故去っていくのか
5 起業家として知っておくべきモデル
5 面白く書かれていて、しかもわかりやすい


事業を創る、とはこういうことなのか。
id:m_pixyさんの

「起業を夢見る」という妄想的な部分はきれいに吹っ飛びました

この一言に惹かれて購入した本だが、買って良かった。すご本だと思います。


この本を読んで、お客様に提供する「価値」というものの考え方が、かなりクリアになりました。事業を営むということは、商品やサービスをお客様に提供するということではない。商品やサービス、あるいはその周辺にあるブランドイメージ等を通して、どういう価値を感じてもらうのか、ということなのだ。
そして事業を創るということは、その提供する価値とは何か、はっきりと明確に言葉にできることなのでしょう。
私自身、Webサービスを公開しているわけですが、単にツールを提供しているという意識ではダメなのだと思いました。ツールを利用した人が、どういった問題を解決し、どういった価値を感じてもらうのか。そして、その実現のためにどういったことをやっていくのか。それを考えなければならないのだと、この本は気づかせてくれました。
ちょうどこの本を読む直前くらいに、

Remember The Milkcheck*padなど、有名な競合サービスもたくさんあります。ええ、もう泣けてくるくらいに。

それでもO.SHI.GO.TOを使ってくれている人たちがいます。それは他の競合サービスでは(現在は)提供できない価値を、O.SHI.GO.TOが提供しているからだと思います。それを見失わないように、育てていかなければなりません。

RTMcheck*padと同じところを目指す必要はありません。O.SHI.GO.TOO.SHI.GO.TOの目指すべきところがある。

というエントリーを書いていたので、余計に響いたのかもしれません。


それともう1つ。この本の凄いところがあります。
業務マニュアル。
この言葉を聞いて嫌なイメージを持った人に、是非、この本を読んで欲しい。私自身、マニュアルというものに抵抗感を感じる人間でした。でも、この本を読むと、それが180度変わります。
この本で言うマニュアルとは、

  • パイ屋さん*1が提供したい価値が「思いやり」

だとして、例えば

  • 電話に出たときに「思いやり」を表現するには?
  • お金を受け取るときに「思いやり」を表現するには?
  • パイをオーブンから出すとき「思いやり」を表現するには?

といった問いに対する答えが書かれているモノでなくてはならないのです。そして、それを従業員に徹底させることによって、「平凡な人たちが非凡な結果を生む」のだと。
「マニュアル」というものが、とても人間味のある血の通ったものに思えてきます。


起業しようとしている人だけでなく、お客様と何らかの接点がある立場であれば、読んでみて損はない一冊だと思います。お勧め。

      • -

さて、以下はメモ書き。


この本の3つのポイント。

  1. 起業家、マネージャ、職人の3つの役割
  2. 事業の仕組み化
  3. 成功のための7つのステップ

起業家、マネージャ、職人の3つの役割

  • 起業家: 新しい世界を切り開く
  • マネージャ: 事業の基礎を固める
  • 職人: 専門分野で力を発揮
  • 3つのバランスが大切
  • 幼年期
    • 起業当初は職人のやり方
    • いずれ限界に達する
    • そこで変化できるか?できなければ倒産
    • マネージャと起業家の人格を使って青年期へ
  • 青年期
    • 次第に手頃なサイズを越えて事業が拡大する
    • 良くあるパターンは3つ
      1. 幼年期に戻る: 変化を受け入れられなかった
      2. 倒産
      3. 歯を食いしばって頑張る
    • 経営者の仕事をする!
    • 「経営者の仕事は、自分自身と自分の事業が成長するための準備をすることなんだ。事業が大きくなれば、それを支えるためにもっと強い仕組みを作ることを勉強しなきゃならない。とても責任が重いように聞こえるけれど、成功するにはこれ以外に方法がないんだ。」
  • 成熟期
    • 「成熟期に入った会社は長期的なビジョンをもっていて、それを中心に経営されている。長期的なビジョンを持っていることこそが、起業家的な経営の方法なんだ。会社が作られたころから、この考え方で経営されてきたから、成長を続けることができるのさ」
      • スモールビジネスのころから、成熟期の企業のように振る舞う
  • 起業家として
    • 顧客が私の事業をどう思っているか。競争相手と比べて、どれくらい差別化できているか。この問題意識を起業家は常に持っている
    • 起業家が走り始めたら
      • マネージャ: 走り続けるための燃料があるか確認
      • 職人: 大好きなボルトとナットを手に走り回る

事業の仕組み化

  • マクドナルド兄弟が作り上げたのは、ハンバーガーショップではなくて、お金を生み出す機械
  • 事業の試作モデルを作る
    • 価値とは何か?
      • それに答えられなくてはならない
      • 提供すべき価値とは何か、はっきり理解すること
    • 人ではなくシステムに依存した事業にする
      • システムに生命を吹き込むのは人
      • 非凡な人がシステムを作り、平凡な人がシステムによって非凡な結果を出す
    • システムによって
      • 本当に必要な能力と、実際の従業員の能力のギャップを埋める
      • 長期的に安定した結果を残せる
    • マニュアル
      • 仕事の目的、手順、結果を評価する方法が明確に書かれていること
      • それの蓄積がマニュアル
      • 毎回のサービスに一貫性を持たせること

成功のための7つのステップ

  • 「創造とは新しいものを考え出すことである。イノベーションとは新しいものを実行することである。」
  • 7つのステップ
    1. 事業の究極の目標を設定する
    2. 戦略的目標を設定する
    3. 組織戦略を考える
    4. マネジメント戦略を考える
    5. 人材戦略を考える
    6. マーケティング戦略を考える
    7. システム戦略を考える
事業の究極の目標
  • 最も大切なあなた自信の人生の目標
  • 普通の人と功績を残す人の違いは、人生を受け身の姿勢で過ごすことと、自ら人生を切り開こうとすることの差
戦略的目標
  • ゴールまでの達成度を測る
  • 第1の基準: お金
    • 望むように生きるために幾ら必要か
  • 第2の基準: 事業に取り組む価値はあるか?
    • 顧客が何か感じるのは、商品ではなくお店や事業全体に対して
      • ファンタジーを分かち合おう。シャネル。(シャネルのCM)
      • 香水という単語は一度も出てこない。売ろうとしたのは香水という商品ではなく、ファンタジーという価値。
    • あなたが考えている事業は、多くの消費者が感じている不満を解決できるものだろうか?
組織戦略
  • 必要な仕事を全て洗い出し、役割を当てはめていく。まるで大きな会社であるかのように。
  • 役職ごとにマニュアルを作る
    • 「職人の仕事」をマニュアルに
      • 自分が実際に働いてみて、従業員がどのように働くべきかを決めないとマニュアルは作れない
      • 従業員に期待するような仕事の進め方を自身が実践する
    • マニュアルが出来てから人材を雇う
      • 適当な人材が見つかったらマニュアルを渡す
      • 他の従業員に仕事を任せた決定的瞬間
マネジメント戦略
  • 管理システム
    • 一般的に言うマネジメントのシステムではなくて、マーケティングのためのシステム
    • 効率ではなく効果
    • 常に顧客を満足させるサービスを一貫して提供するためのシステム
人材戦略
  • 仕事は人間の心を映し出す鏡
    • 仕事が粗雑な人間は内面も粗雑
    • 退屈そうに仕事をしている人間は、自分自身に退屈している
    • つまらない仕事でも、芸術家が手がければ芸術品に仕上げることができる
    • 仕事とは自分の心の状態を映し出す
  • 事業とは、自分を鍛錬する道場のようなもの
    • 自分自身の内面との戦い
  • 従業員に思い通りに働いて欲しいなら、まずその環境を用意しなくてはならない
  • 経営理念が全ての基本
    • 経営理念がなければ、従業員の問題を考えることなどできない
  • マネージャの仕事
    1. それをどう実行するのか
    2. それを実行するために、どのようにして雇用し、教育するのか
    3. それをどう管理するのか
    4. それをどう変えるのか
    • 「それ」とは顧客への約束
    • 例えば「思いやり」であれば、
      • 電話に出たときに「思いやり」を表現するには?
      • お金を受け取るときは?
      • パイをオーブンから出すときは?
      • 業務マニュアルには、こうした質問に対する答えが書かれることになる
マーケティング戦略
  • あなたの望むものより、顧客の望むもの
    • 大抵の場合、「顧客が望むもの」についてのあなたの想像は外れる
  • 顧客の意志決定を行うのは、顧客の「無意識」
    • 無意識とは顧客の「期待」
  • 「期待」を知るには、属性分析と心理分析
    • 属性分析: 顧客は誰なのか
    • 心理分析: なぜ購買するのか
  • 人は無意識に持っている期待や価値観を変えることはできない
    • 提供する商品やサービスに合う価値観を持った人を探す方が効果的
    • 私の経営理念に共感してくれるお客さんは、どんな人だろう?
  • 顧客が他の店ではなく、自分達の店を選ぶために、自分達の事業はどうあるべきか
    • 常にライバルが約束できないことを約束し続けることが社長の仕事
システム戦略
  • システムとは相互に作用するモノ、行動、アイデア、情報の集合体
    • ハードシステム
    • ソフトシステム
    • 情報システム

*1:本書に出てくる主人公の一人は、パイ屋さんを経営しています