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これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

技術力の高いエンジニアをどこまで特別扱いすればいいのだろう

思索

malaがはてなを退職したって事で、原因は何だろう?

malaさんがはてなを辞めた理由は知らないけども、このエントリーを読んでて思い出したことがあった。


3年ほど前に私が15名ほどのチームでプロジェクトリーダーをしていたとき、一人だけずば抜けて技術力のあるエンジニアがいた(Aさんとする)。Aさんは私の1つ上の先輩で、その技術力の高さを見込んで、ライブラリだのフレームワークだのの開発や改善をお願いしていた。それについては、当然ながらチームに多大な貢献をしてくれたと思っているし、技術に意識の高いメンバーを彼に付けて作業させたので、他のメンバーの成長にも役立ったのは間違いない。
しかし、その時プロジェクトには、もっと単純だけど、時間がかかって根気の必要な、欠かすことの出来ない作業もあって、ほとんどのメンバーはそれに従事していた。多分、ライブラリだのをプログラミングするよりも、ずっとツマラナイ作業だっただろうと思う。みんな、最後まで頑張ってくれたので、それにはとても感謝している。


さて、本題はここからだ。
当時、私が非常に恐れていたことがある。幸い、現実化することはなかったが。それは、他のメンバーが「Aさんだけ特別扱いでずるい」と不満を露わにすることだった。
プロジェクトがピークの時も、Aさんの労働時間は相対的に周囲より短かった。もちろん、それはAさんが効率良く作業を進めているからであって、努力と行動の結果としてそうなっているのだけど。ただ、分からない人には、それは分からないのだろうと思う(もちろん分かっている人もいた)。
求めている高いハードルをクリアしてくれている以上、Aさんの能力が発揮できるようにすることは、あのチームの1つのポイントであったことは間違いなかった。
しかし、Aさん一人が動けばプロジェクトが成功するわけではない。他のメンバーがやってくれている作業も、ゴールへ到達するためには欠かすことができないものなのだ。
要は全員がそれなりに力を発揮して貰わなければ、ゴールへ到達することができない状況だったわけである。
もし、Aさんのやり方と他のメンバーの不満が衝突していたら、どうすれば良かったのだろうか。未だに結論が見出せない。


個人的には、エース級のエンジニアや社員には、最低限のことを守ってもらえれば、とことん自由にやってもらっても良いんじゃないかと思う。しかし、一方ではルールに従ってもらうことを要求する人たちもいたとき、そこに衝突のリスクを感じざるを得ない。

追記

ぶくまコメントを眺めながら幾つか追記したことが出てきた。
ホッテントリに載るとは思ってなかったので、ちょっとドキドキしながら以下へ。


まず、Aさん以外のその他メンバーについて。
繰り返しになるけども、彼らは実際に不満を表明したわけでないのです。寧ろ、文句も言わずにしっかりと仕事をしてくれた。
私は彼らに対して感謝しているのです。(Aさんにも)
#えっと、何となく擁護しておきたくなったので。私は彼らのことも好きなのです。


不満を露わにしたらどうしよう、というのは私が感じていた「顕在化していないリスク」だった。
なんでこんなリスクを感じたのかということについて、ハッとさせられたぶくまコメントが

atawi 労働 本題とは別の、日本の労働観のいびつさが指摘されててわろた。

だった。なるほど、これは私の根っこの部分に、日本の労働観が染み付いているのだな、と。表層意識の部分で否定はするけど、それが「日本での働き方だ」って脳のどこかにインストールされているかのようだ。だから、他の人もそう思っているのではないか、と想像してしまったのかもしれない。
しかし、この件を私と同じように「難しい問題」と捉える人達もいるようなので、やはりリスクとしては存在するのだな、とも思った。


作業の量と質を定量化できれば、一番分かりやすいのだろうけど、なかなか難しい。
Aさんのやった作業は、他のメンバーの作業負荷を軽減するものでもあった(そのためのフレームワークやライブラリ)。
でも、実際どのくらい軽減できたのかを比較することはできない。それを比較にするには、Aさんが居なかった場合と比べることになるけど、同条件でプロジェクトを実施することなどあり得ないし。
ちなみに、このプロジェクトは2フェーズに分かれていて、Aさんは第1フェーズの終了と共にプロジェクトを去った。Aさんの居なくなった後の第2フェーズは、工数見積上は第1フェーズよりも大きいにも関わらず、大したトラブルもなく、スムーズに作業が進んでいった。
これはAさんが残してくれたフレームワークやライブラリに対して、各メンバーの学習が進んだから、というのも1つの要因だったと思う(もちろん他にも要因があるが)。


組織的な仕組みでカバーするような意見もあって、それはそれで面白いと思うのだけど、プロジェクトリーダーという立場においては、結局のところ、Aさんの位置付けを明確にした上で、その理由について地道に語っていく方法が一番なのかな、と思った。
そういう意味では、コメント欄に記入してもらったcyphertec_asakawaさんの

能力差はあって当り前だし、それをどのように知らしめることができるかとか、個々の不満を個々に吸収する以外に手はないと思います。そういった意味で、プロジェクトリーダにはどうしてもコミュニケーション力というのが要求されるのも当然なので、日々チームを見渡す気遣いが要は大切なのです

という意見にはてなスターを付けたいところ。


#今回、自分のエントリーに対して、たくさんの意見を目にすることができたのは、新鮮な体験でした。ぶくま&コメント&トラバ、ありがとうございます。