これ僕.com:行動分析学マニアがおくる行動戦略

意図と行動のギャップから生じる「不自由さ」への挑戦。果たして僕たちに自由はあるのか?

戦術は効率、戦略は効果

戦術・戦略というのは戦争関連の言葉だと思うけど、これらはビジネスの世界でも使われたりする。特に戦略という言葉は、頻繁に見かける。しかし、その意味については曖昧で統一されてない印象を受ける。
それで、ランチェスター経営の教材を使って勉強していたら、戦術・戦略の定義についてはっきり認識できた。で、書いてみようと思う。

戦術とは

戦術とは、成果(または成果物)を直接的に生産するあらゆる作業のことを指す。
戦術を決めるということは、作業の具体的な手順を決めることだし、戦術を身につけるということは、作業手順に習熟するということだ。


戦術の改善とは、具体的な作業手順の改善であり、その結果、作業が効率化されることになる。
つまり、効率化とは具体的な作業手順が分かっているものに対してのみ、実施することが可能になる。書いてみると当たり前に思えるけども、これを忘れて効率化が語られることはしばしばある。
例えば、これから取り組む未知の作業に対して、「スケジュールが厳しいけど、効率的に作業を進めれば何とかなるはず」などと言うのは、的外れなのだ。既に実施したことのある、経験済みの作業に対してしか、効率の改善はできない。
ソフトウェア開発で考えてみると、何度も構築したことのあるタイプのソフトウェアであれば、どこどこをフレームワーク化したりとか、自動生成したりとかで効率化できる。しかし、初めて取り組むタイプのソフトウェアで、事前にフレームワークだの自動生成だのをやってみても、思った程効率は上がらないばかりか、場合によっては足を引っ張ることになる*1
80:20の法則でいうところの、大事な20の部分を見極められるから、上手く効率化できるのだと思う。

戦略とは

戦略とは、目的・目標を効果的に達成する「やり方」を考えることを指す。
戦略に関する仕事は、目でみて分かるような具体的な作業があるわけではなく、もしかしたら、本人の頭はフル回転しているのだけど、他からみるとボーッとしているだけのように見えることもあるかもしれない。


戦略を考えるとは、目的・目標に沿って、より大きな効果を求めるということだ。大きなシェアを獲得するための商品やサービスを考えたり、競争相手の居ない客層や業界の創造を考えたりするのは、まさに戦略と言えるのだと思う。
あるいは、プロジェクトを短い期間で完了できる仕組みを考え、より多く仕事を受注できるようにするのも戦略だと思う。これは一見、効率化のように思えるけど、この場合、効率化は戦略上の目標を達成するための手段の1つだ。


戦略で取り扱うのは、これから手に入れたいであろう未知のことなので、戦略を考えることそれ自体を効率化するのは難しい。ドラッカーは、著書「経営者の条件」において、次のように述べている。

創造と変革は時間に対して膨大な要求を突きつける。短時間のうちに考えたり行ったりすることのできるのは、すでに知っていることを考えるか、既に行っていることを行うときだけである。(P56より)

故に、戦略の分野において成果を出すには、地道で時間をかけた取り組みが必要となるし、戦略に関するスキルを身につけるにも膨大な時間が必要となる。
しかし、だからといって戦略をおろそかにしていたのでは、個人においても組織においても、伸びることができるのは戦術レベルの効率化が有効な間だけで、ある程度経ったら頭打ちしてしまうことになる。個人が30歳を過ぎた辺りから、伸びを感じなくなるようなケースは、戦略的な思考が欠けていることに原因があるのだろう。

*1:[http://capsctrl.que.jp/kdmsnr/wiki/bliki/?FoundationFramework:title=Foundation Framework]と[http://capsctrl.que.jp/kdmsnr/wiki/bliki/?HarvestedFramework:title=Harvested Framework]の話