会社での仕事というのは、よほどの上級職でない限り、達成すべきゴールと制約が与えられた状態でスタートする。なので、まずは
- 制約を守りつつゴールに到達する
ことが最初に達成すべきこととなる。加えて、優秀な社員などは
- 効率良くゴールへ到達する、またはその仕組みと手順を作る
- より効果的に成果を得るための提案をする
といった活動をする。が、しかし、いずれにせよゴールと制約が与えられているという状況に変わりはない。会社に所属していて、上司がいる状態で、ゼロから仕事をスタートすることはほとんどない。
また、仕事の成果の良し悪しについては、基本的に上司が判断する。良い結果を継続的に出しているなら、昇進し、収入も僅かではあるが上昇していく。
対して、業を起こすというのは、それがどんなに小さなものであろうと、自分自身でゴールを考えなければならない。それは明確なものではないかもしれないけど、とにかく自分で何をするか決めなければならないのである。
また、制約も誰かが与えてくれるわけではなく、自分の現状をみつめ、見つけ出さなければならない。
これらの作業は目に見えないし、形もない上に、直接的な結果が何かも分からない。良し悪しがとても判断し辛いのだ。竹田陽一氏のランチェスター経営では、
- 従業員一人当たりの純利益
- 従業員一人当たりの自己資本
で測るらしく、これはおそらく適切な指標なのだろうが、ではこの数値が悪いから行動を変えるべきかというと、必ずしもそうではないのが難しい。
というのは、この手の行動は、努力の量と成果の量が比例しているわけではないからだ。努力量が一定水準に達するまでは、ほとんど成果が出ることはない。しかし、その水準を超えた瞬間に大きな成果を得られる。
この性質が、フィードバックを得ながら行動を修正することを難しくしている。
自分でWebサービスを開発して、そして起業を意識して行動してみると、この両者には全く接点がないことが分かった。会社員としての仕事の延長線上に、起業はない。いや、もちろん会社員の間に得た知識・経験・スキルは、部品として使うことはできる。
でも、多分、それは大して重要なことではなく、なんというか根本的に違う部分の能力が求められているように思う。それをあるいは、戦略と呼ぶのかもしれない、と思っている今日この頃。